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代表的な疾患と治療の一例

腰痛症

なぜ腰痛が起こるのか?その原因はなんなのか?
近年、特別な場合(内臓疾患・悪性腫瘍など)を除き、腰痛は下記(図1)のような原因により発症することが多いとされています。

したがって、腰痛の原因を見つけるために、腰痛を発症したきっかけはなんだったのか、普段どのような姿勢をとっているのか、どのような動きの癖をもっているのか、何か不安に思っていることがあるのか、実際に痛む筋肉はどこかなどを、お話しを伺ったり、実際に検査(姿勢・動き・筋肉のバランス・触診など)することによって画像(レントゲンやMRI)ではわからない部分の機能障害を統合的に明らかにしていきます。

そこから明らかになってきた機能障害について、治療を行って行きます。例えば、筋肉のこわばりが強いような状態であればマッサージやストレッチなどの筋肉をゆるめるような手技や、物理療法(レーザー・超音波・ホットパックなど)、有酸素運動(エアロバイク・水中運動など)などを用いて、血液循環を良くし筋肉の緊張を落としていきます。
筋肉をこわばらせていた原因が、姿勢にあると疑われれば姿勢を改善するような運動(理想的な姿勢の指導・短い筋肉のストレッチ・弱い筋肉の強化運動など)を行います。同じ動きの反復が原因と疑われれば動きの癖をとる運動を行います。症状の変化を実感できたり、手で触れられることにより不安が取り除かれると、結果として筋肉の緊張がやわらぎ痛みが軽減していくこともあります。これらを組み合わせて統合的に治療を行って行きます。
脚のしびれに関しても、上記のような治療をすることでやわらいだり、なくなることを多く経験しています。長い生活環境や習慣などが要因のこれらの痛みは、受け身の治療では治りにくいです(再発を繰り返してしまいます)。
痛みの無い体づくりをするために主体的かつ積極的に治療に参加していただき、自らリハビリに取り組んでいただくことが重要となります。
上記の治療方法を用いて「自分の痛みは自分で治す」ためのお手伝いをさせていただきます。

具体的な一例

50歳代 男性
【診断名】腰椎椎間板ヘルニア,変形性脊椎症

【症状】
①左の腰からお尻にかけての痛み
②左脚のしびれ
(図2参照)

【問診】

「痛みが出たきっかけは?」

昔から、腰痛やお尻周辺の重だるさや痛みはあった。今回は、草むしりをした後に痛みとしびれがでてきた。いつもなら放っておけばだんだん良くなっていたのだが、今回はいつもと違って長引いている。

「症状が出現または増強するのはどんなとき?」

立っているとき、草むしりをしているとき → 腰からお尻が痛くなり、太ももからすねの外側がしびれる。

【神経系検査(しびれは神経の影響か?リハビリで改善が見込めるか?)】

しびれのある側の脚が極端に細くなっていたり(筋萎縮)、足首や足の指に極端に力が入らない(麻痺)とういことはない。 → 神経の影響ではない可能性が高く、リハビリ治療効果に期待できると判断。

【姿勢検査】

  1. 腰の軽い反りがなく、まっすぐ(背骨のS字形がなくなっている)。
  2. 上半身が左側に傾いていて、いつも左脚で体重を支えている感じ。
  3. 草むしりのときの姿勢 → 中腰で腰を丸めている。

【筋肉の検査】

  1. 筋肉を押したときの痛み
    左お尻の外側(小・中殿筋),左お尻の真ん中(梨状筋)、左腰の外側(腰方形筋)。  
    *特にお尻の筋肉は少し触っただけで体を逃がしてしまうくらの痛みあり。
  2. 筋肉の長さ
    短くなっていた筋肉 : 腹筋・左腰の外側の筋肉(腰方形筋)。
    → 背骨のS字形がなく、上半身が左側に傾いていた姿勢の原因。

【検査の結果わかったこと】

  1. 左腰の筋肉が緊張して短くなってしまっていたために、上半身が左側に傾いていた。
  2. 上半身が左側に傾いていたために、重心が左側に寄りいつも左脚で体重を多く支えていた。
  3. いつも左足で体重を多く支えていたので、左のお尻周辺の筋肉をたくさん使ってしまっていて、筋肉が緊張していた。
  4. したがって、昔から左の腰部とお尻周辺の筋肉に重だるさがあったと考えられた。
  5. 草むしりをするために、前かがみでの蹲居(そんきょ)姿勢を長く続けたために、もともと緊張状態にあった腰の筋肉と、お尻の筋肉に更に負担がかかって、痛みとしびれが発症したと考えられた。
  6. その緊張が強く現れてしまったために、いつもよりも長引いて、いつまでたっても痛く、しびれている状態になっていると考えられた。

【治療と結果】

検査の結果わかったことを参考にして以下の治療を行いました(代表的なものを一部抜粋)。

  1. 左腰部の筋肉を伸ばすストレッチ → 左に傾いていた姿勢がまっすぐに戻り、左右均等に体重を支えている感じになった。
  2. 左お尻の筋肉の緊張を落とす手技 → お尻の重だるさ・脚のしびれ軽減。
  3. 腹筋を伸ばすストレッチ → 腰がそるようになってきた(背骨にS字形ができてきた)。
  4. 背筋運動 → 腰が少しだけそった姿勢を保てるようになってきた。
  5. 左腰・お尻の筋肉と、腹筋の自分で行うストレッチ方法の指導。
  6. お尻の筋肉への負担を軽減する為に、草むしりのときに小さな椅子に腰掛けるように指導。

上記のような治療を週1回、全4回行い、姿勢の改善とともに、痛み・しびれはなくなりました。
毎週、来院時に症状の変化を確認し、自分で行う治療が正しく行えているかチェックすることを繰り返しました。ご本人様にも治療に積極的に参加していただく事で、自分で治療や再発予防が出来るようになり、リハビリ終了となりました。

 

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